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やつしろのお雛祭り
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やつ雛俳句 入選作品発表

◎大賞

来世(らいせい)も女がよろし雛を抱く    橋口陽子様

 

◎秀作

生きてゆく不安も少し雛かざる    作能艶子様

ひな祭り城下は水の匂ふ街    坂川奈々子様

あるだけの雛をかざりてなほ淋し   白木智子様

 

◎入選

見へざりし吾(われ)にひひなの匂いかな    葉山髙弘様

鬼は外払う相手は我の中    岩崎陽子様

かりそめのひと日を雛に遊びけり    大江田妙子様

独り身の後ろめたさや雛祭    吉崎和郎様

「くもつかみたい」「ママもそうヨ」は雛の時代(ころ)    中村好様

 

◎選者特選

前山光則選

おひなさまあなたのきものきてみたい    橋口詩様

 

山下しげ人選

母の背はひなたの匂ひ花菜漬    吉原利津子様

 

米村恒憲選

年老し母尋ぬれば小(ち)さき雛    吉崎和郎様

 

 

2020年 やつ雛俳句選評    前山光則

 全体、そして大賞について

 応募作を前にして、選者三人は二時間余りみっちり愉しませてもらいました。目にする一句一句から、雛祭りや春の風情が伝わってきます。お一人お一人の観察、思考、情感、お互い共通のものや独特のものやらが詠まれていたりして、時間を忘れたくらいです。女性からの応募が大半でしたが、男性の作も混じっており、好感の持てるものがありました(来年はもっとガンバレ、男たち!)。

◎大賞 選評

来世(らいせい)も女がよろし雛を抱く     橋口 陽子    

 大賞に選ばれた橋口陽子さんの「来世も女がよろし雛を抱く」、これは女性でなくては言えない悦びが表出されているなあ、と、選者三人の意見が一致しました。「雛を抱く」という時、作者の中に幼時からの至福の記憶や思いが蘇ってきているに違いなく、だから来世も女として生まれるのが「よろし」、この言い切り方には説得力が感じられました。

 

◎秀作選評    山下しげ人

生きてゆく不安も少し雛かざる     作能 艶子

 雛を飾るときにふと来し方行く末を思ってしまうものです。これまで通り美しくいきることに翳りを感じた作者。雛を愛で雛に語りつつ人生を歩んでいらしゃったことがわかる境涯の一句です。

 

ひな祭り城下は水の匂ふ街     坂川 奈々子

 柔らかな春の陽が降り注ぐ雛の頃は、水の中に小さな命が煌めき動き始める頃でもあります。作者はそんな八代城下の命の水に匂いを感じ取ったのです。実感の一句であり、まさに「やつしろ雛祭」を象徴する一句です。

 

あるだけの雛を飾りてなほ淋しい     白木 智子

 紙雛、土雛、京雛、吉野雛等と雛の類は多いものです。これまで、思い出とともに数々の雛を求められたのでしょう。雛を飾ってしまい「なほ淋し」と感じたのは余命を思われたからでしょうか。繊細な心理描写の句です。

 

◎入選作選評    米村恒憲  

独り身の後ろめたさや雛祭     吉崎 和郎

 「独り身の後ろめたさや」の切実感が後を引く心に染みる一句。作者の懊悩を率直に吐露され、読者に様々な感慨を喚起させる境涯句であり、こころに刻まれる一句です。

 

「くもつかみたい」「ママもそうヨ」は雛の時代(ころ)    中村 好

 大空の雲をつかみたい幼少期の子(孫)の愛らしさ。気紛れでおしゃまな天使の時代。まさに「雛の時代」ですね。季語の「桃の節句の雛」から離れていますので、次回はご注意下さい。

 

かりそめのひと日を雛に遊びけり     大江田 妙子    

かりそめは「仮初」と書き、軽い気持ちでするさまですが、その日でなくては味わえない「雛・雛祭り」にハッとする感動をなさったと「雛に遊びけり」の言葉から感じます。

 

見えざりし吾にひひなの匂ひかな      葉山 髙弘    

 「ひひな(読みは、ひいな)」は雛・雛人形。 句意は、「見ることの出来ないわたしに、永い年月を生きてきた雛人形の匂いが私を取り囲んでいるようです。」という切実な念(おも)いを、率直に描かれました。

 

「鬼は外」払う相手は我の中     岩崎 陽子     

 節分の「鬼は外、福は内」という掛け声の「福は内」には一切触れず、鬼というべきは我(自分)の中にあり、そんな自分を祓いたいという内省的で人格高潔の作者であると存知ます。

 

◎選者特選 前山 光則選

おひなさまあなたのきものきてみたい     橋口 詩

 橋口さんの句「おひなさまあなたのきものきてみたい」に出会った時、かわいらしさに惹かれました。お雛様の姿に憧れ、自分もお雛様と同じ衣裳を身にってみたいという、これは素直な願望が率直に詠まれているわけです。うん、うん、なるほどね、と深く頷いたことでした。ついでに言えば、この句は漢字交じりに書かれていたら新鮮味を持ち得なかったかも知れません。ひらがなだけで表してあるから、柔らかくて、実に気持ちの良い一句となったのではないでしょうか。 

 

◎選者特選  山下しげ人選

母の背はひなたの匂ひ花菜漬    吉原 利津子

 雛の頃になるといつも花菜漬をしていた母のことが思い起こされる作者。働き者で温かく明るかった母は自然と作者の鑑となったのでしょう。「ひなたの匂ひ」は母の生き方であり花菜の匂いでもあるのです。母恋の一句。

 

◎選者特選   米村 恒憲選

年老いし母尋ぬれば小さき雛    吉崎 和郎 

 久しぶりに実家を尋ね(訪ね)られたのでしょうか。お母様と対面され、痩せて小さくなったなあと思われた時、正に小さな手作りの雛人形そのものでいらしたご母堂。寿命ある人間の老いと雛の一体感が絶妙です。

 

 

 

 

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